食べるの大好きウーズンさんで思い出した、というわけではありませんが。

世界を食いつくせ! キッチン・コンフィデンシャル・ワールド・エディション

世界を食いつくせ! キッチン・コンフィデンシャル・ワールド・エディション

土曜日一日がかりで「世界を食いつくせ!」を読了。
NYの一流レストランのシェフでもある著者が世界を巡って究極のメニューを食べた記録が綴られるわけだが、
ウンチクがぎっしり詰まった「ためになる本」だと思ったら大間違い。
そこは、「セックス・ドラッグ・グルメ」な荒ぶった厨房の裏側を描いた「キッチン・コンフィデンシャル」の著者なので、
そんな一筋縄でいくわけがない。


クメール・ルージュの残党が潜む村のカジノへ行くべく「宇宙一の悪路」を時速15キロで旅したり、
ベトナムではコブラの心臓を生きたまま食したり、
ロッコの砂漠でベルベル族伝統の羊の丸焼きを食べたり
(しかも、羊が手に入らないから作れないと断られると自分で突撃して調達しちゃう)
するのだ。

ただ、著者の名誉のために言っておくと、この企画はアメリカで放送されたTV番組のためのものなので、
絵的に派手なゲテモノや珍味がどうしても多くなってしまうのは致し方ないところ。
著者自身はその土地の食習慣としてではなく、遊び半分でゲテモノを供するのに否定的だ。

むしろ、それらの冒険より
ポルトガルの片田舎で豚一頭を捌いて食べる一部始終を見て、
青ざめながらも命を食べる尊さに思いをはせたり、
子ども時代に夏をすごした南仏へ弟と行き、記憶の中の味を再確認したり、
ベトナムでフォーを味わいながら、普通の人々の真摯な生き方に感動したり、
生活の中に息づく食の豊かさに気づかせてくれる一連のくだりが本当に魅力的だ。
「この人は本当に食べることと料理が好きなのだな」と感嘆させられる。

ちなみに、出てくる料理が本当に美味しそうなので、真夜中には読まないほうが身のため。
私はバスクでのタパス巡りのくだりを読んでいて、
夜中の1時に我慢できずにクリームチーズとトマトとジャガイモでスパニッシュオムレツを作りました。